RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

青天の霹靂@109シネマズ川崎 2014年5月24日(土)

本日が封切り初日。

席数246の【シアター1】の入りは
八割程度で盛況。

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原作も脚本も監督も出演も
一人でこなす『劇団ひとり』のマルチタレント振りが際立つが、
かなりの気負いも目立つ。

奇矯なアングルや、
不自然に長い間の多用にそれは現われ、
このまま凡庸なタレント監督として一作だけで終わってしまうのか、
それとも『北野武』なみに化けるのかは
本編の興業成績に伴う、次のオファー次第だろう。


元々、モチーフ自体には、かなり手垢が付いている。
要素を二つに分けてみると、それがよく判る。

タイムスリップものは数多だし、
浅草で昔の両親に邂逅するエピソードは
異人たちとの夏〕の秀作がある(なので、『風間杜夫』が出演していることには
思わず笑ってしまった)。

過去の世界で体験するカルチャーギャップにも目新しさは無い。
では、本編のキモは何なのか。


売れないマジシャン『轟晴夫(大泉洋)』は
自分の今の境遇は、幼い頃に母に捨てられ、
青年期に父に出奔されたことが原因だと
二人を恨んでいる。

そんな彼の元に、ホームレスになっていた父親が死んだとの知らせ。

警察から遺骨を持って帰る途上で
突然の雷に打たれ、三十五年前にタイムスリップし
そこで、まだ妊娠中の母親『悦子(柴咲コウ)』と
まだ若い父親『正太郎(劇団ひとり)』に出会い
自分の出生の真実を知る。


件の「秘密」とて特に目新らしさは無い。

ただ、昔の父母と触れ合うことで、
実際には経験できなかった、親子の情愛や会話を取り戻す。

やがて、独りで僻んでいた自分から
確実に変わって行く。

人間としての成長が、
その顔つきの変容からも伺いとれる。


とは言うものの、全ては雷に打たれたショックによる
「一炊の夢」だったという可能性もあるのだが・・・・。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆。


先の『秋吉久美子』もそうであったが、ここでの『柴崎コウ』も
むちゃくちゃキレイだ。

多分、過去観た作品の中で、一番ではないだろうか。