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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅@TOHOシネマズシャンテ 2014年4月14日(月)

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券売窓口脇の看板には
「17日までの上映」の告知が貼られている。

席数201の【CHANTER-2】の入りは
三十人ほど。

二ヶ月半にも及ぶロングランを考慮すれば、
仕方のない入り具合、とも言える。
ましてや、平日の昼下がりだし。


年老いた男が、高速の路側を歩いている。
パトカーから降りてきた警官に咎められ、
「どこに行くのか。どこから来たのか」と尋ねられても、
大まかな方向を指さすばかり。
一見して痴呆の症状にも見える。

これが本作の導入部。

その男『ウディ(ブルース・ダーン)』は
「100万ドルが当選しました」という釣りを真に受け、
北西部のモンタナ州から、間の州を一つ挟んだ中部のネブラスカ州まで
歩いて行こうとしていたのだと判る。

妻や二人の息子は、(詐欺だとわかっているので)引き留めるが、
『ウディ』は頑として聞き入れようとはせず
何度も出奔を繰り返す。

やがて、その熱意にほだされたのか、
それとも真実を見せれば諦めもつくと思ったのか
下の息子『デヴィッド(ウィル・フォーテ)』が同道を申し出、
二人は車で「ネブラスカ」を目指す。


所謂、{ロードムービー}に分類されるのだろうか。

ただ、ネブラスカ州は『ウディ』と妻の故郷であり、
『デヴィッド』も幼い頃、兄と一緒に同地で育った記憶がある。

実際は、距離的な移動と共に、
家族の歴史を辿る旅でもあるわけだ。


『ウディ』が立ち寄ったことで、
昼間も人けが無い小さな町にさざ波が立つ。

そこで我々は、親戚や旧友達の
善と悪を見せつけられることになる

やるせない想いと共に、
僅かな救済も仄めかさされる。

そして親子の間に、
涼やかなココロのふれあう瞬間が訪れる。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆。

『ウディ』の造形は、
ホントに呆けてしまっているのか、
それともある種の達観によるものなのか
最後まで判然としない。
意図的に、そう描いている。

ただこの親子は、
成人してから、さしで向かい合うコトが
無かったのではないだろうか。

そして老いを実感する父親にとっては、
息子と濃密な時間を過ごすことの、
これが最後の機会であったのかもしれない。