RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

もらとりあむタマ子@109シネマズ川崎 2013年12月1日(日)

封切り二週目に突入。

席数89の【シアター9】は九割方の入りで盛況。

客層はまったく満遍なく、
中学生の女子の集団から、初老の夫婦連れと
幅広い。

主演の『前田敦子』は
同じ監督と組んだ前作〔苦役列車〕で
かなり渋い上手さを発揮していたが、
さて、本作ではどうだろうか。


イメージ 1


大学を卒業し、郷里の甲府に戻って来た
『タマ子(前田敦子)』は父親(『康すおん』)が営むスポーツ店を
手伝うでもなく、ましてや家事は全くしようとせず、
日がな一日を、食べて寝て、ゲームと漫画に費やしている。

映画は、そんな彼女の一年間を、
秋から夏まで、丹念に描く。

妻とは離婚し、『タマ子』の姉も嫁に行ったため、
一人で暮らしていた父親は文句を言いながらも
甲斐甲斐しく不肖な娘の面倒を見る。

二人の間に交わされる会話は、
ほのぼのとして微笑ましい。


物語は、特にドラマチックな展開が起きるわけではない。
日常の、どこにでもある出来事が、細やかに積み重なっていく。

『タマ子』の造形は非常に捉え辛い。
父親との同居が、彼を心配してのことなのか、
また漫然として暮らしている日々が、
次の飛翔の為の雌伏なのか、
最後まで曖昧模糊としている。

しかし、父親の身辺や『タマ子』の心情に、
僅かづつの変化が見られることに、
観客の側は四季の移ろいの中で次第に感じ取って行く。


監督の『山下敦弘』と主演の『前田敦子』はホントに相性が良い様だ。

しかし〔苦役列車〕にしろ、本作にしろ、
彼女が演じていたのは、ほぼ等身大の自分だろう。
体型や外見の変化を含めて、
一年と言う長い期間を掛けて撮った成果が
其処此処に見える。

同じコンビで次作があるとすれば、
本来の自己から遊離した人物に成れるかどうかが
正念場になるだろう。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆★。

『タマ子』が日々読んでいる漫画は
天然コケッコー〕〔東京のカサノバ〕(何れも『くらもちふさこ』作)なのには
笑ったが、次回作は、まさか後者、じゃあないよね?