RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

危険なプロット@109シネマズ川崎 2013年10月19日(土)

本日が公開初日。
が、席数121の【シアター5】は五割程度の入りと
少々寂しい。

客層は、やや高齢の男性単身が多く、
やはり「+R15」だけのことはある。


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高校(校名が『ギュスターヴ・フローベール』とは洒落ている)の文学教師『ジェルマン』が
生徒達に出した宿題「週末の出来事を作文にする」を採点している。

殆どが箸にも棒にもかからないなか、
群を抜いて素晴らしい内容・文書の男子が一人だけいる。

その生徒『クロード・ガルシア』に興味を持った『ジェルマン』は
彼を呼び出し、作文の続きを書くように薦める。

しかし何度も提出する内に、その内容は次第にエスカレートし・・・・。


『クロード』が紡ぐ物語の、
その文章には取り立てて魅惑があるとも思えないのに、
一読者として、または編集者として、
取り込まれて行く『ジェルマン』は殆ど病的とも言えるし、
魔に魅入られてしまったかのよう。

寧ろ、そこで取り上げられている
(『クロードの同級生であり『ジェルマン』のクラスの生徒)『ラファ』の家族の生活を覗き見ることと、
その中に次第に入り込んで行く『クロード』が、
どれだけ大胆な行動を取るのかに期待し
次回の作文を心待ちにしている様だ。


しかし、これはカタチを変えた吸血鬼モノではないか。
『クロード』は初めての家に入る時に、
必ず招きの言葉を受けてから足を踏み入れる。

何と言っても原題は〔Dans la maison〕。
事件は常に「家の中」で起き、または起きようとしている。


『クロード』と『ジェルマン』は、
書き手と読者の依存関係以上のもので繋がる。

一方的に与え、受け取るの関係でなく、
与えることに喜びを感じ、受け取ることで成長を促す。
何時の間にか主客が逆転している。

しかし最終的には、
彼等が係る全ての家族のカタチは、
『クロード』の妖しいチカラが働くかのように
崩壊に向かう。


評価は☆五点満点で☆☆☆★。


『クロード』の行いは
観ている観客の側の心をきりきりと傷め付ける。

それにしても、何とも舞台っぽい演出は、
妙に白けてしまうのだが。