RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

日本近代前衛絵画史 1910s~1940s@板橋区立美術館 2013年6月9日(日)

「―激動の時代・画家のまなざし」なる副題が冠されている

展示内容はタイトル通りで一目瞭然、
明治期~終戦までの、日本が激しく動いた時代に
描かれた作品群、と言うことになる。

イメージ 1


会期は、残念ながら本日が最終日。
折角の「無料」の機会を逃すまいと、
かなり焦っての訪問。

館内もそこそこの人の入りなのに加え、
学芸員ティーチインなども開催されている時間に
行き会ってしまったため、
色々とやり過ごしながらの鑑賞を余儀なくされる。


総展示数九十弱は寄託品も含め
当該美術館の所有と言う。

それを10年代から始まり
各年代毎に、
特に20年代は厚めにそれを、
1900年代の前半を総覧できる内容に仕立てている。

とは言うものの、やはりこれもタイトルに在る通り
「前衛」をテーマとしているわけだから、
各セクションのお題も
「フォービスム」「シュルレアリスム」等の
それっぽい響きに満ちており、
同館お得意の分野の開陳となっている。


そんな中で、妙に気に入ってしまったのは
『渡辺武』の〔風化〕と題された一作。

開け放たれた戸を背景に
一心不乱にミシンを踏む女性。
しかし、そのミシンは異次元へ消え去る様に、
所々がそのカタチを失いつつある。

うむう。直近のSF映画のワンシーンみたいだ。

しかも、格子模様の床、小さな引き出しから
溢れる様に垂れている糸の描写は
フェルメール』の〔レースを編む女〕を彷彿とさせるが
どうだろう。


それ以外にも『森堯之』の〔人物〕も
『カシニョール』を更に先取りするかの様な
すっきりとした孤高な人物描写が好ましい。