RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

ザ・マスター@TOHOシネマズシャンテ 2013年4月7日(日)

席数201の【CHANTER-2】は三割程度の入り。
封切り三週目に入ろうとしているが、
盛況の部類か?

客層は、高齢の男性独りが圧倒的に多く、
カップルも、男性が先頭に立って歩いているところを見ると、
女性は引っ張られて来たのだろう。

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第二次大戦の終了をハワイで迎えた海兵の
『フレディ・クィエル(ホアキン・フェニックス )』は
終戦後に(今で言うところの)PTSDと診断され、
自分で調合する怪しい合成酒の依存症とも相まって、
どんな職に就いてもトラブルをおこし長続きしない。

そんな彼が、或る日酔って忍び込んだ船の中で、
『ランカスター・ドッド(フィリップ・シーモア・ホフマン)』
に出会う。

『ドッド』は『ザ・コーズ』なる団体の首魁(=マスター)で
退行療法を使い、精神の覚醒と共に、
病をも治癒するという触れ込みで
カルトに近い人気を博し、
信奉者も増加の一途だった。

その一方で『ザ・コーズ』は胡散臭い新興宗教と同一視され、
敵対・迫害は日々増して行く。


『フレディ』は次第に『ドッド』の教えに恭順し、
『ドッド』は『フレディ』に精神的に依存して行く様になる。


う~む。とっても難しい映画だ。

二時間半近い尺を使いながらも
二人の関係を十分に描き切れてない印象を持った。

心の深い部分で、『ドッド』が『フレディ』に魅かれて行く過程。
『ドッド』の妻『マリー(エイミー・アダムス)』が
『フレディ』を疎ましく感じる様になる経緯。
『ザ・コーズ』の構成員のアンビバレンツな想いを含めて
かなり表面的な描写に終始している。

一番の問題は『フレディ』の直情的で浅薄な行為が、
『マスター』に対する疑念から生まれたものか、
彼の精神的(または持って生まれた)疾患が背景にあるのかが
暈されている点で、何とも消化不良だ。


評価は☆五点満点で☆☆☆★。

役者さん達の演技には見るべきものがあるけれど、
脚本に対する海外での評価は、
実在の団体とのゴシップ的な話題に依る成果ではないのか?