RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

DOMANI 明日展@国立新美術館 2013年2月2日(土)

【新宿】のディスカウンターで、会期前にもかかわらず
招待券が200円で販売されているのを見た時には驚いた。

そんな、不人気物件なのか・・・・。
個人的には、凄くツボなのだが。

で、【新橋】で、
90円で見つけた時には、思わず小躍りした。
一般の入場料が1,000円なのに、である。

なら場内は、かなりの空き具合なんだろう、
でも、会期は明日(~2月3日)までだから、
意外と混んでるかもしれない、
などと思いを巡らせながら足を運ぶ。

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会場内に入れば、
思いの外、人は居る。

時間を追うごとに
密度を増して来る。

早い時間に来て正解だったかも。


入り口から順を追って、
好きな作家さんを挙げて行く。


『橋爪彩』
引込線-所沢ビエンナーレ-で目に付いて、
その後も注視していたのだが、
こんなことになっていたのね。

従来からの「赤い靴」をモチーフにしたものに加え、
女性らしい生態を正面から捉えた〔Toilette des Filles〕等の作品が加わり
表現の多様性が増している。

近寄って観れば、妙に白い肌の描写も
僅かに離れるだけで、女性の願望を体現した美白が、
芯から発色しているかに見えるのが不思議だ。


澤田知子
同じ画面に、ちょっと違う自分が二人で同衾する見慣れた作品に加え
『ウォホール』ばりの「トマトケチャップ」「マスタードソ-ス」
を同じパターンでパッケージの商品名称だけを(しかもメーカーは
『ハインツ』だし)各国仕様に違え、計56枚を一組にした作品が壁面に並ぶ。

容器の形態は同一だから、ラベルだけを造り変えているのだろうが、
文字の違いが、文化の違いに変換されて見えてしまった。

面白い。


『小尾修』
精細画の特別展ではちらほらと見かけるのだが、
正直あまり注目してなかった。

でも、今回並べられている作品群を観て、はっとした。

おそらく、『礒江』にオマージュを捧げたと思われる〔春〕を冒頭に、
90年代から直近までの軌跡が俯瞰できる構成になっており
最新になるほど、人物表現の深みが増してないか?


『曽根裕』
大理石の塊から、香港やサンフランシスコの街を一望する
ランドスケープを彫り出している。

恰も、元々内在していたものを掬い出した様に自然に。

素晴らしい。


『池田学』
一点描くのに、ゆうに一年は掛かっているだろうと思われる
細密なペン画。

観ていて飽きないのは、仔細な描き込みなのは勿論だが、
意表を突く文物が内包されているからで、
観直す度に、新たな発見がある。

場内で一番の人を集めていた。


それ以外にも、
履き古した靴を、元の持ち主の想いが書かれたメモと共に、
全てを赤い糸で繋いだ『塩田千春』の〔大陸を越えて〕。

子供を連れた来場者は、殆どが此処で記念撮影をしていたが、
作者の制作意図が正しく反映された行動、というか
それを含めインスタレーションとして成立している。


いゃぁ、事前の期待通りの密度の濃さ。
来年度も、これ位の濃度を期待する。