RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

人生の特等席@チネチッタ川崎 2012年11月23日(金)

本日が初日の故か、
席数284と、かなり大きめの【CINE 5】は、
九割がたの入り。
端の方に、若干の空席が認められる程度の盛況。

客層は、やや高齢のカップルが多いかな。

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この時以来、
四年振りにスクリーン上に姿を見せた『クリント・イーストウッド』は、更に老いて、
皮膚には大小様々な皺が刻まれている。
しかし、自分の老化を表に出すことで、
俳優と役が一体化して見えるのが素晴らしい。


MLBのスカウトを長年務めてきた『ガス(クリント・イーストウッド)』は
有望な新人を発掘するその鋭い感性から、「鷹の眼を持つ男」と言われている。

しかしそんな彼も、寄る年波には勝てず、
眼は霞み、
車庫から愛車を出すにも一苦労。
加えて排尿も困難、
足元も覚束ない。
チームの首脳陣は
来期以降の契約継続に懐疑的になっている。


GMの指令を受け、『ガス』が今追っているのは
超高校級のスラッガー『ボー・ジェントリー』。
ドラフトでの上位指名権を持つ「レッドソックス」は
一位指名を誰にするかの判断に揺れている。

そんな折、『ガス』に眼の病気がある疑いが出、
それを知った娘『ミッキー(エイミー・アダムス)』は
法律事務所の共同経営者に抜擢される瀬戸際であるにも拘わらず、
昔そうしたように、父親の旅に同行する決意をする。

実は彼女は、過去のある出来事が原因で、今は父親とは不仲になっている。

しかし、この旅が、二人の間のしこりを
次第に解きほぐして行く。


しみじみとした余韻が残る良い映画だ。

敵対する、コンピューターを駆使するスカウトマンが
若干ステレオタイプに表現されれているきらいはあるが
(だって、実際、こんな間抜けなことはしないでしょう、
億単位の金が動くんだから)、
物語の流れはスムース。

MLBや、過去の彼の地のショウビズの知識が無いと
科白には若干付いて行けないけど、
全体の楽しみを奪うほどではない。


前作では、疑似的な親子関係が前面に出ていたわけだが、
今回は血を分けた肉親との諍いと融和が丁寧に描かれる。

我々の前に提示された諸問題の解もきっちりと示され、
加えてラストのエピソードでは
その鮮やかさに、思わず快哉を叫んでしまうだろう。