RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

ローマ法王の休日@TOHOシネマズシャンテ 2012年8月14日(火)

席数224の【SCREEN 1】は満員。

客層は中高年の女性が圧倒的で、
次いで、それに引っ張られてきたであろう旦那さん達。

彼女等の人気は、圧倒的に口コミよるものだろうが、
その評価は果たして正しいのか?

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先代の逝去に伴い、108人の枢機卿が『バチカン』に集まり、
次代の法王を選出するための「コンクラーベ」が行われる。

何度かの黒い煙の後、漸く上がる白い煙。

選ばれたのは、下馬評にも無い『メルビル』だった。

就任後の初仕事、『サン・ピエトロ広場』に集う群衆に向け
語り掛ける段になり、彼はコシが引けてしまう、
「自分にはムリ」と。

新しい『ローマ法王』は就任の演説を無事にすることができるのか。


エンドタイトルに切り替わった途端に「やられた!」と思った。
これは、映画を賞賛する感嘆ではなく、後悔の一言である。

要は『GAGA』の作る予告編とチラシにしてやられたのであり、
これに近い。
ただ、内容は数段劣る、凡庸な一作なのだ。


どこかで聞いたようなストーリーではある。
しかし、ここでの新法王は、あくまでも受動的。
加えて、自分の窮状を訴えるだけで何の努力も行わない。

彼の突飛な行動に振り回される周囲を、よりシニカルな視線で描けば
まだ救いもあったのだが、
ここでは、ほのぼのと、のほほんと時間だけが
(意味の無い、バレーボールのシーンに象徴される)過ぎて行く。
その眼差しは、あくまでも(生)暖かい。

ラストシーンに至っては噴飯モノで、一体何をしたかったのか、
さっぱり理解できない。

個人主義偏重の現代的病理が、こんなところまで及んでいると言う
メタファーか?


各所各所では、くすぐりに近い笑いが起き、
多くの観客は、そのことでそこそこの満足を得ている様だし、
それが混雑の背景なのだろう。
しかし、圧倒的な面白さが横溢している訳ではない。

今年観た中では、最底辺に位置付けられる。