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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

スープ ~生まれ変わりの物語~@TOHOシネマズ川崎 2012年7月14日(土)

席数142と小さいながらも
【SCREEN 1】は九割方の入り。

客層は幅広い。

イメージ 1


不慮の事故で亡くなった『渋谷健一(生瀬勝久)』が目覚めたのは
死者の国。
そこには、過去に亡くなった人達が屯していた。

何の不自由も無い彼の地での暮らしではあるが、
現世に一人残された高校生の娘『美加(刈谷友衣子)』のその後が
心配でならない。

やがて『健一』は、それを飲めば来世に転生できる
「スープ」の存在を知る。
しかし、その転生は、
現時点での記憶を一切無くしてしまうことだと言う。

娘への想いを断ち切れない彼が
そこで取った行動とは・・・・。


古今東西で、こういった
天国から(一時的にでも)戻って来る、とか
生まれ変わって、違う人生を生きる
と言った作品は小説であれ、漫画であれ、映画であれ、
数多作られている。

なので、敢えて、それを持ち出すには
新たな切り口や視点がないと、既視感に囚われた
駄作に堕ちてしまう。

本作は、二つのひねりを持ち込むことで
手垢の付いたモチーフを活き活きと再生させている。


よく考えてみれば、転生と言うのは
新たに生れ落ちることであり、
モノゴコロが付く年齢になるまでは
『健一』が気にしている娘の消息を
知ることもできないわけだか
その点を合理的に処理し、
新たな青春譚の側面まで付加している。

当然、それらの詳細は書けないし、
ご都合主義の点も散見されるが、
ま、許容範囲。


事前の期待度は高くはなかったのだが
良い方向に裏切る中々の出来。
思わぬ拾い物をした感のある
佳作小品である。