RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

アーティスト@TOHOシネマズ川崎 2012年4月14日(土)

席数150の【SCREEN4】は六割程度の入りで、
公開二週目且つ「アカデミー受賞」の割には
少々淋しい印象。

まあ、この時期に「サイレント」は
余程の映画好きか、
「アカデミー」の名称に釣られるか、
何れかでなければ観ようとは思わんだろう。

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斯く言う自分も、サイレント映画を観た本数は
数えるほど。

なので、途中眠くなったらどうしよう、
などと真剣に悩んでいたのだが、
都度音声が差し込まれる効果的な演出も相まって、
100分の尺は、あっと言う間に魅せきられた印象。


サイレント→トーキーの過渡期を描いた〔雨に唄えば〕、
落魄したスターが再起する〔バンドワゴン〕、
そうした、懐かしい、幸せな感覚に満ちた映画の記憶が、
ここでは新しい息吹を込められて、見事に再生している。

音楽の使用もそうだが、「ト書き」も最低限に抑えられ、
その分モンタージューはフル活動。
印象的な(ある種、どこかで観た)シーンが幾つも積み重なっている。

オープニングからして、古き良き時代のそれをきっちりと踏襲
(エンドロールだけは現代的、だけどね)、
これから見せる世界観をきっちりと認識させる仕掛けも嬉しい。

〔サイレント・ムービ〕で『メル・ブルックス』が
使った効果的な「一声」に匹敵する音の使い方の上手さにも
唸らされる。


ストーリー自体は、(先に述べた様に)アリがちではあるものの、
近代的なテクニックで蘇えらされた本作は、
胸のあたりが、ほんわかと暖かくなる
美しい一編に仕上がった。