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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

偶然の科学:ダンカン・ワッツ~読了

著者の『ダンカン・ワッツ』と言えば
数年前に「スモールワールド」についての追試を
大規模なNet上のサンプルで実施したことで
つとに知られているが、衝撃的だったのは、
『Harvard Business Review』昨年4月号に掲載された
「流行が起こる本当のメカニズム」と題された
(ほんの)数ページの論文。

本稿で彼は、現在のマーケティングでは
(かなり)欠かすことのできない存在とされている
インフルエンサー」の影響力を限定的とした上で、
それよりも流行が起きる鍵は、
その情報を二次的・三次的に受け取る人の動向こそが
重要であるとの論を張っている。

もっとも、更に面白かったのは、
Web上のマーケティング関連のブロガーさん達の反応で、
代理店に紐付く人達は、殆んど言及せずに終わったのに対し、
そうでない方々は、こぞって取り上げている、
一旦作り込まれたマーケティングモデルを
はみ出すことが、中々難しいという次第
(勿論、自分がchkした限りではあるが・・・・)。

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で、本書。

先に挙げた論文がより詳細に著述されているのに加え、
ビジネスの成功の如何は多分に「偶然」に左右されることが、
幾つかの事例と共に、挙げられている。

ただ、そこで例示されている内容は「Apple信者」であれば
怒髪天かもしれないし、
当然彼も「努力や計画無しに、物事の成否は(全てが)運による」
なんて事を言っているわけでもない。


以前、あるメーカーの人が、
「新製品は既存品よりも、絶対良いモノを出している」
と話していたことを思い出す。

当然、マーケティングの手法も日々深化しているし、
ロンチ前には多くのリサーチも行っている。
それでもヒットする商品は万に一つだ。

そして、何故売れたのか・売れなかったのかの
分析や反省が始まる。


何れにしろ、事の評価が定まってから成功や失敗の原因を
したり顔で解説する輩への皮相な一書になっていることは
間違いないけど。