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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

アントキノイノチ@チネチッタ川崎 2011年11月23日(水)

407席と、チネチッタ最大の【CINE11】は
四割程度の入り。
前評判の割には、少々淋しいだろうか。

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客層は、若いカップルが圧倒的に多いのだが、
時として、高齢のそれが混ざっているのが、
奇異に感じられるが、
それは原作者に起因するのかな。


もう三十年も前になるだろうか、
その作者のコンサートに行ったことがある。
噂では聞いていたが、曲間のトーク
それはそれは面白いものだった。
殆んど、小話の域にまで達している。

しかし本作は、そういった会話は
極限まで切り詰められている。
コトバの無い時間が圧倒的なのだ。
それが240分という尺の背景なのだろう。
映像をもって語らせるシーンが多い。


『久保田ゆき』を演じた『榮倉奈々』、
実は、かなり大根だと思っていた。
しかし、本作での彼女は
素晴しく良い。
時宜がそうさせているのか、
それとも、片一方の主人公の造形がマッチしているのか。

時としての長廻し、またアップの多用、
カメラの揺れを利用した心理描写。
全てが、彼女の演技的な成長が背景にあって成立している。


時代を反映する病を持つ男女が出会うことで
一瞬の蜃気楼の様に顕われた、
淡い交流は、
全てが描かれた後、
胸に迫って来るものがある。

かなりの佳作である。