【シアター10】は席数72と極小。
そのせいもあってか、
場内は満席の盛況。
客層は
カップルが多目。
本作の監督『
ダンカン・ジョーンズ』と言えば、
どうしても『ボウイー』の息子という出自から
色眼鏡で見られがち。
多少、安作りなセット、
〔
ソラリス〕の二番煎じかと思わせるプロットながら、
蓋を開けてみればビックリ玉手箱の様相。
で、本作。
前作同様、「繰り返し」がキーとなる。
シカゴ駅で起きた列車爆破の犯人を探るため、
『コルター・ス
ティーヴンス(ジェイク・ジ
レンホール)』
は繰り返し、特定の人物の意識の中に転送させられる。
その時間は決まって8分間。
数度繰り返される内に、次第に犯人は絞れてくるのだが、
何故自分が選ばれたのか?
何故こんなことができるのか?
と言った新たな謎が併行して湧き出して来る。
何の説明も無しに、
意識転送された『コルター』のアップからの
ファーストシーンは、観ている方も混乱してしまう。
次第に仔細が明らかになる
ストーリーテリングの
手腕は例によって素晴しい。
また、エンディングに至るまで
複数のサスペンスが並列して描かれるのは、
本作の主要素である「
量子論」を体現して、
観客の側からすれば、二重・三重にドキドキする。
短い尺の中に、手際よく収められているため、
こちらは息つく暇も無いほど興奮させられてしまう。
結果、二作目も、一作を凌駕する傑作。
同監督の力量は本物と見た。
ちなみに、「
量子論」については
こんな著作を読んでおくと、ためになる。
同時に複数の場所に存在できる理論が、
うす~~~~~くではるが、理解できたりする。