RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

ウィンターズ・ボーン@TOHOシネマズシャンテ 2011年11月14日(月)

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席数201の【CHANTER-2】の入りは
四割程度。
客層は、比較的高齢の男女、それも単身が多い。
文芸モノ好き、って感じかな。


母親は精神を病んでいる。
父親は麻薬の密造が発覚し収監中。
幼い弟妹を抱えて、
17歳の『リー(ジェニファー・ローレンス)』は
「家貧しくして孝子出ず」を地で行く毎日を送っている。

そんな、彼女の元に、ある日警官が訪れ、
保釈中の父親が行方不明になったこと、
期日までに出頭しなければ、
保釈金のカタに家作が召し上げられてしまうこと、
を告げる。

全ての命運が肩に圧し掛かった彼女は、
父親の居所を捜して回る。

しかし、近所の人や縁故を含めて、
全員が素気無く対応する。

どうやら、一帯で、父について触れる事は、
タブーの様なのだ。

それでも、果敢に尋ね回る『リー』。
果たし彼女は父親を見つけ出し、
自宅を保全することができるのか。


「PG12」指定の理由が、
観る前には検討が付かなかった。

しかし、アメリカという国は、
現在でも、この様な闇を随所に抱えているのだろう。

地縁や血縁のドロドロとした重々しい主題が
しかし思いの外、カラリとした筆致で描かれている。

ジェニファー・ローレンス』が好演。
意志の強い主人公を、見事に体現している。
本作の成功の多くを、彼女に負うところが大きいだろう。

脚本は無駄なく刈り込まれ、
弟妹への想い、
周囲との関係性、
彼女の置かれている立場、
が、90分という短い尺ながら、
流れる様に描写される。

ラストシーンでは、ある種のカタルシス
我々は感じるのだが、しかし、それは
相当屈折した想いである。