RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

ステキな金縛り@109シネマズ川崎 2011年10月29日(土)

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本日が封切り初日の本作。
当然のことながら、【シアター3】は満席。
此処が、席数121と、比較的小さい劇場であることは
あまり関係無いだろう。
多分、もっと大きくても、満員になったはず。

しかし、それは、作品の出来自体とはまるで関係無い。
主客であるおば様達は、
例えば朝や昼のワイドショー、
朝日新聞』に監督が連載しているエッセー、等の
メディアミックスに感化されて来場している
であろうことは容易に想定できるから。

テレビに出て面白い事を言う
黒縁の眼鏡を掛けている人の作った映画だから
面白いに違いない、
ということだろう。

そういう意味では、上映前から、
既に笑う準備はできている
ワケだ。

実際、彼女達は良く笑う。
それが、何でも無いシーンであっても。
しかも「やだぁ」とか「そうよねぇ」と言った
合いの手を入れながら。

例によって『CX』のあざといまでの仕掛けは、
大成功となる一編なのだろう。
三谷幸喜』も「笑い」のブランドと化している。


作品自体は、
レベッカ〕のオープニング、
〔情婦〕の法廷シーン、
KEYとなる小物としては、
『キャプラ』の二作を用意して、
過去作品へのオマージュも十分だ。

加えて、絶妙の台詞回しと、練られたプロット、
カメオ出演も含めて豪華な俳優陣、
しかも、一部は前作の芸名を引き継ぐなど、
中々いちゃもんを付けられる内容ではない。

しかし、何か違和感を感じる。
それは、台詞と台詞、動作と動作、シーンの繋ぎにもある
微妙な「間」にあるようだ、
多分、舞台やテレビでは「笑い」が起る場を
意図的に(いや、寧ろ無意識かな)とっているせいではないか。

果たして、本作も、これは「映画」なのか。


前述の映画のDVDを含めて、小物の使い方はスマートさに欠ける様だ
(良い方の例を挙げると、『ワイルダー』の〔ねえ!キスしてよ〕に出てくる、
「へそボタン」。ただ、この作品自体の評価は高くないみたいだけど・・・・)。

また、『深キョン』演じるファミレス店員と、
がけっぷちの弁護士『宝生エミ(深津絵里)』との間に交わされる
メニューを巡ってのやり取りは、繰り返しのギャグを使った
本来であれば笑わせどころであるにも係わらず、殆んど笑いが起きないという、
恐らく意図とずれた空回り。

個人的には、全編を通して、笑えたのは一箇所
きりだった。にやりとするシーンは多かったけどね。

ただ、場内は哄笑の渦だったと書いておこう。
しかし、『三谷幸喜』というブランドを剥がして
素で観た時に、
「傑作」とか「満足度100%」と
評価できる作品だろうか?