RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

幸せパズル@TOHOシネマズシャンテ 2011年10月14日(金)

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201席の【CHANTER-2】は四割程度の入り。
客層は主人公より若い(であろう)女性が
独りで来ているのが大半か。


専業主婦の『マリア』は、
夫と二人の息子と、
それなりに充実した日々を送っている。

例えそれが、
自分の誕生パーティで、
料理・ホスト・後片付けの全てを
独りでこなされけれなばいけないことに象徴される生活だとしても。

その誕生日に貰ったジグゾーパズルが
彼女の運命を変えて行く。
『マリア』にはパズルの天分があったのだ。

次第にパズルにのめり込み、
やがて都心の専門店に買出し行くようになる。

そこで見つけた一枚の広告タグ。
それは、パズル選手権に出場するためのパートーナーを募集するものだった。

広告の主に恐る恐る連絡を取る『マリア』。
待ち合わせ場所の邸宅を訪問すると
彼女の前に現われたのは独身の富豪『ロベルト』だった。


非常に手錬た造りの映画だ。
90分という短い尺に、過不足無く必要な情報は詰まっている。
しかも、それは、以外と緩やかに感じる時間の流れを伴って。

特に、割れた皿を繋ぎ合わせることから
プレゼントのパズルに取り組むまでの
一連の流れは、サスペンスさえ感じさせる
上々の出来。


初めて熱中できるものを見つけた『マリア』の踊るココロ。
しかも、それは僅かながらの背徳を秘めている。

一方、今までは従順であった妻が、急に美しくなり、
自分の意見を持つようになったことに戸惑う夫。

今まで嬉々としてこなしていた料理も
次第になおざりになる事を不審に感じる子供達。

それらの揺らぎが、言葉による説明ではなく
映像を通して直截的に表現される。
これが、映画としての正しいあり方である。


出場するパズル大会の結果次第で、
その後の展開はどの様にでもできるわけだが、
此処では以外と中庸な結末に落としている。

それは、
エンディングで彼女が試みる
ささやかなレジスタンスと同じで
製作国の実情を反映したものかもしれない。