RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

未来を生きる君たちへ@TOHOシネマズシャンテ 2011年8月28日(日)

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【CHANTER-2】はフラットな造りで
以外と観難いのだが、
席数201の、六割がたは埋まっている。

客層は比較的高齢のカップルも多く、
時たま聞こえて来る鼾は、ご愛嬌、
無理矢理引っ張れて来た結果だろうか。


ストーリーは、二箇所が併行して描かれ
進行する。

先ずは(ロケ地)ケニアの紛争地帯。
力が支配する彼の地では、難民キャンプとて
安住の場所ではない。ましてや、一歩外に踏み出すと
武器を持つ者が勝者の無法地帯。

そこでボランティア医師として赴任している『アントン』は、
今日も運ばれてくる傷ついた無辜の民を診ては、
暴力の連鎖に懊悩する。


一方、彼の故郷デンマークでは、
実の息子『エリアス』がイジメの対象となっている。
それは周囲を巻き込む陰湿なもの。
母親は、学校に対処を求めるが、
学校側は家庭環境の問題にし、
取り合おうとしない。

そこに、母を無くした『クリスチャン』が転校して来る。
彼は、暴力には暴力で対抗しょうとするタイプ。
そのことに救われた『アントン』だが、
力のはけ口は、より大きなものへ向かおうとする。


何が善で何が悪かとか、
因果応報とか、
非暴力であるとか、
復讐であるとか、
一方的に正邪を決め付ける作品では無い。

全ての出来事が、正否を判断せずに
ぽ~んと我々の前に提示され、
全ては観たものの判断に委ねられる。

加えて、親子の、夫婦の、同世代間の
関係性も適宜取り込まれ、
更に深く、私達は思い至ることになるのだ。


暴力やそれに近い行為がなされる瞬間に、
カタルシスを感じ快哉を覚える自分達が居る。
片や、和解の瞬間に、
ココロを揺さぶられるのも
同じ自分。


単純な問い掛けながら
一筋縄では行かない造りは、
監督や脚本家の力量を如実に示す
傑作である。