RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

BIUTIFUL ビューティフル@TOHOシネマズシャンテ 2011年7月14日(木)

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あれれ、綴りが違ってる。
〔ハルフウェイ〕を思い出した。
撮影中に『北乃きい』が、間違って読んだままをタイトルにした
北川悦吏子』監督のアレである。

しかし、意味合いは、かなり異なっている。
明らかに間違っているスペルだが、劇中で
「発音したままを書き取れば良いのだ」と、
主人公に言わしめている。

自分の信じる事が正しいのだ、
と言うメタファーだろうか。


【CHANTER-2】は席数201と、中程度の大きさ。
当日は「TOHOシネマズデイ」の故か、半数程度の入り。

客層は、中高年の男性(単独)、高年の女性二人連れ、
若い女性(単独)が目立つ。
所謂、文芸作品の倣いか。


障害により感情の起伏の激しい妻とは別居し、
男手で二人の子供を育てる『ウスバル』は、
しかし自身も、
手配士
パチもんのブローカー
霊媒
等を生業にし、何とか糊口を凌いでいる、
所謂、底辺の生活者である。

加えて、放って置いた体調の不良に耐え切れなくなり、
病院を訪れた、精密検査の結果は、不治の病。
余命幾許も無い宣告だった。

『ウスバル』は、そこである決意をする。


『ウスバル』の非合法な仕事の詳細、
妻と別居に至る経緯、
子供との関係、
兄弟や早世した両親のことが、
丁寧に描かれる。

我々は、そこで同時に
スペインという国が抱える問題も知ることになる。

貧困。
移民と不法滞在。
違法就労
搾取する側とされる側。
騙すもの、騙されるもの。
慈善と欺瞞。
実はそれらは表裏一体で、
簡単にひっくり返ってしまう危ういものだ。

『ウスバル』の選択は、とてもじゃないが素晴しいとは言えないし、
その末期は哀れでさえある。

しかし、自分が信じて選んだ道であれば、
どの様なものであろうと、
それを前にしたら、我々の頭は自ずと垂れてしまう。