RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

小川の辺@109シネマズ川崎 2011年7月10日(日)

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キャパ72席と、さほど大きくは無い【シアター10】だが、
場内は満員の盛況。

客層は、勿論高齢者が多いのだが、
ちらほらと見かける若い女性客は、主演男優目当てか、
それとも最近多くなって来ていると言う、
時代物好き女子か。


脱藩した『佐久間愛之助片岡愛之助)』を討つために
派遣されていた藩士が、病気のために帰郷した。

その代役として、藩内でも一・二を争う剣の使い手
『戌井朔之助(東山紀之)』にお鉢が回って来た。

上意であるが、一旦、拒否をする『朔之助』。
『佐久間』は親友であったし、
何よりも彼の妹は『佐久間』に嫁いでいた。

勝気な妹『田鶴(菊地凛子)』は、その場に居れば
間違いなく自分に刃向かって来るだろう。
そうすれば、親友に加えて妹も手討ちにしなければならない。

しかし、藩命には逆らえず江戸に向かって出立する『朔之助』。
傍には、用人の『新蔵(勝地涼)』が付き添う。
彼は家僕ではあるものの、幼い時は二人と兄弟同様に育ち、
嘗て『田鶴』とは、互いに想いを寄せる仲であった。

『佐久間』と『田鶴』が潜伏しているであろう行徳までは、
十日強の道程である。


『藤沢』作品の映画化としては、珍しく短い期間に
収斂している。
常であれば、四季の移ろいと共に語られる物語は、
在郷の親族が、常には咲いている花が、
まだ咲かないと、気をもんでいる間に、
終わってしまう。

道中語られる、『佐久間』が脱藩に至る経緯と、
『朔之助』と『田鶴』の諍い、
『新蔵』と『田鶴』の関係性も意味深だ。

観客は、
上意討ちは成功するのか

『朔之助』は『田鶴』を斬るのか
の、二重の意味でハラハラしながら道中を見守る。

そして、余韻を残すラストシーンではあるが、
妙にしっくりと来ない。

宣伝文句通り、『藤沢』作品であるが故に、
この結末は素直に受け取るのが筋だろう。

が、もし、『宮部みゆき』が原作者だったら、
全ての伏線も含めた仕掛けは、
まるっきり異なる側面を見せては来ないか?

「深い感動」という惹句よりも、
肩透かしを喰らわされた様な後味は、
過去の同系列の作品に較べると、
クオリティは落ちる感じだ。