RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

川辺ナホ展@資生堂ギャラリー 2011年2月5日(土)

イメージ 1
(過去、UPしたものと似たアングルですが、
けして、写真を使い回しているわけではありません)

”第5回「shiseido art egg」展”の最終回は、
『川辺ナホ』の個展。

基本{インスタレーション}と呼ばれる表現手法は
あまり好むところでは無いのだが、
本展は素晴しい作品の連続。

先ず、入り口の階段を降りるところから、
何時もとは異なり、照明が薄暗く調整されている、
「何事?」と訝りながら歩を進めると、
展示室内は「光り」によって映し出される作品の数々。

入って直ぐの〔調和だけど不公平 #2〕。
天井から無数のボールが吊り下げされている。
壁には「HELP」の文字。
回転するライトが左から右にボールを照らすと、
件の文字が明るくなり、やがて暗くなる。
周囲にはボールが反射する灯りが
キラキラと煌めく。
どうやら、無作為に吊るしてあるように見えるボールは、
ある光源からだと「HELP」の文字を構成するように
設えてあるらしい。素晴しい。

次いで、「ぐい~ん。ぐい~ん」と、
モーター音のする方向に目をやれば、
そこには〔静止するふり〕。
投影機が左に右に触れながら光りを当てる先には、
地球ゴマ」がこれも右に左に揺れながら、
映し出されている。
スポットライトの様に、
光りは一瞬遅れてコマの動きを追っているようにも見えるが、
どうやらスライドをテンポをずらして動かすことで、
その揺らぎを再現している様だ。
だって、よ~く見ると、規則性が有るんだもん。

そして極めつけは〔封印した!〕。
一番奥の薄暗い部屋にカーペットの様なモノが敷かれている。
しかし、近寄って見ると、厚みが全く無い。「?」。
よくよく見れば、何と!!、砂の様な細かい粒子で、
文様が、床面に直接描かれている。
すげ~、技量と労力。
仔細に観察すれば、おそらく観客が誤って
触ってしまった、指の跡もそのまま残っている。

高所に設置された、人形の影を映す
〔どうしてぼくはこんなところに〕
を含む計四点は、何れも自分の見る行為を
楽しく裏切ってくれる。