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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

円山応挙 -空間の創造-@三井記念美術館 2010年11月3日(水)

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一般の入場料は1,200円だが、
ぐるっとパス」を利用。

14:30頃の入館だったのだが、
いやはや大変な混雑。
7階に上がるエレベーター前の通路から
最早人が大勢いる。

元々は茶器を展示するガラスケースの中に、
小品を寝かせて置いてあるものだから、
工芸品であれば、どの角度から観てもほぼ問題ないけど、
絵は逆さまから観ても何の感慨も涌かず、
皆正面に回る動線のため、どうしても滞留してしまう。

加えて、〔淀川両岸図巻〕は、その長巻を展示ケースに収め、
「こちらからご覧下さい」と、
一方通行の矢印までご丁寧に付けたものだから、
流れに乗るための列ができてしまい、
更に混雑を助長させる。

館内の構造上、致し方無いのかもしれないが、
なんだかなぁ~、感は拭えない。


肝心の展示は、四十点弱と多くは無い。
理由は、屏風や襖がかなりのスペースを取っているから。
が逆に、これらは人の集まりが上手く分散し、
観易いことこの上無い。


なので、それらに絞って、たっぷりと一時間強を鑑賞に充てる。


先ずは、何を置いても〔国宝 雪松図屏風〕だろう。
これは、10/9~11/28の期間限定展示。
確か、年始には特別に展示されるはずだが、
今回が初見。

で、この作品、近寄って見ると、
雪の白の部分はべったりと、
松の葉の部分はささっとあっさり、
幹の鱗も濃淡はあまり感じず、
何れも墨で、以外とぞんざいな描かれ方。

ところがある程度距離を取って観ると、
これが豹変する。

風雪に耐えて来た老松の力強さ。
雪の重みに撓る若松の枝。
そして各々の質感や量感が
圧倒的な真実を持って眼前に迫って来る。
なんと言う描写力。
『応挙』恐るべしと、自ずとこちらの腰も低くなる。


そして、六曲一双の〔竹雀図屏風〕。
竹林の中で戯れる雀が、楽しそうな筆致で描かれている。
黒い、すっきりと伸びる竹。
一方、羽毛の一本一本まで精密に描かれた雀。
この小鳥の表情や仕草さが可愛くて、
長時間観ても見飽きない。


この二点だけでも十分に儲けもの。
加えて〔重文 雲龍図屏風〕あり〔老梅図襖〕ありで、
もう館内は完全に至福の空間と化す。

展示替え後に、又来ようかなと、
思っちゃう(ムリなんだけどね)。