RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

大奥@109シネマズ川崎 2010年10月22日(金)

22日は「夫婦の日&カップルデイ」。
しかもヒット作なので
そこそこの混雑を想定していたのだが、
席数222の【シアター1】の入りはパラパラ。
平日の昼下がり、加えて中途半端な時間は、
シネコンと言えど、こんなものかしらん。

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客層は、主演俳優目的であろう女性のグループ。
加えて、何か勘違いをしているのであろうか、
老齢のカップル。
うむう。実際に観ると、ぶっ飛ぶと思うぞ。


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原作は言わずと知れた『よしながふみ』の
大河歴史漫画。
現在、六巻までが刊行中。

若年男性だけが罹患する「赤面疱瘡」という奇病が流行し、
男女の比率が1:4となってしまった、
三代将軍『家光』以降の江戸時代を描くのだが、
その着想の妙に加え、史実を逆の世界に置き換えても(いや、置き換えたが故に)、
風俗や生活、諸々事件の発生した経緯が、却って腹にすとんと落ちる、技ありの展開。
既知の歴史を新たな観点から見直したようにも取れる秀作である。


映画化するのであれば、ストーリー的にも完結し、
イントロダクションとも言える第一巻だろうと思っていた。
しかし、一方で『吉宗』(映画上では『柴咲コウ』)のエピソードが少なく、
主演を二枚看板にするためには脚本に補強が必要だろうことも懸念材料。


本編はと言えば、原作にぴったりと寄り添い、僅かな拡張だけで展開。
他の巻から『吉宗』関連のエピソードを借用し、
人物の造形が明確になるよう、上手く処理している。

導入部の「赤面疱瘡」についてはサラッと流し、
おいおいのストリーの中で総合的に理解できるよう
手練の流れ。

しかし、多くを詰め込み過ぎたためか、後半ではかなりの省略感。
”かるみ”(悪い意味の)を感じてしまう。

ただ、本作の一番の功罪は『二宮和也』に在る。
功の部分は、勿論、その演技を含め、
これが一番の課題である「顔」の点も難なくクリア。
罪は、そのカラダの大きさ。
小柄な彼は、周囲に埋もれてしまうのだ。
大奥の中での、存在感は特に重要で、
そこが体現できないのが最大の難点。

だからと言って、代替に誰が居るのかと問われても挙げられないし、
周囲の配役もピタッと決まっているので、不満はかなり薄まるのだが。


重厚な原作に比べて、かなり軽く仕上がってしまった、
これは明らかに力負け。
先に読まずに観ていれば、もうちょっと感動は強くなったかもしれない。