RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

BECK@109シネマズ川崎 2010年9月19日(日)

直近一年半に、劇場や有料放送で観た、
『堤 監督』作品の個人的な評価(五点満点)。
年度は公開年。

恋愛寫眞 2003年 ☆☆
トリック 劇場版2 2006年 ☆☆
包帯クラブ 2007年 ☆☆☆
20世紀少年<第1章> 2009年 ☆☆☆☆
20世紀少年<第2章> 2009年 ☆☆☆
20世紀少年<第3章> 2009年 ☆☆☆

原作がある作品が殆んどに加えて、どうもムラがある。
で、本作はというと、これがかなり上々の出来。

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定員130の【シアター2】は、あっさり満員。
当代のイケメンを複数揃えた出演陣から、事前の予想では、
若い女性の集団が多いと踏んでいたのだが、とんでもない。
親子連れ、カップルと、客層は多彩(お年寄りはいなかったが)。


虐められっ子の『田中幸雄佐藤健)』が偶然出遭ったのは、
帰国子女の天才ギタリスト『南竜介水嶋ヒロ)』。
彼からギターを貰ったことで音楽を始める。

一方、『竜介』は、NY時代の友人『エディ』との約束を果たすため、
才能のある友人を集めバンドを結成しようとしていた。

そのバンド、BECKに『幸雄』と彼の友人『桜井裕志(中村蒼)』も加わり、
ライブハウス~CDリリースと、次第に活動は広がって行く。
しかし、『幸雄』は、実は、類希なボーカルセンスとヴォイスの持ち主だった。
彼がボーカルを執ったことでBECKは更に飛躍する。

閑話休題
巷間、話題になるであろう”ヴォイス”の問題だが、
個人的には、あの演出は賛成。
どうやったって賛否両論になるのであれば、
あのカタチの方が、いっそ潔い。


二時間半を超える長尺ながら無駄なシーンが全く無い。
それ程、密度が詰まった映像と脚本。
加えて姿勢(何がしたいのか)がはっきりとして
破綻することが無い。
何れも、同監督にとっては珍しいこと。

友情があって、諍いがあって、和解がある。
愛があり、別離がある。
挫折があり、成功がある。
青春の全ての要素が詰まっている。

少年漫画にありがちな強さのエスカレーションは、
此処では最小限に抑えられ、
少女漫画に良くある歌の世界の出来事を、
バンドという男の物語に換骨奪胎し、
上手に処理している。

ただ、ライバルのバンドの強さがあればこそBECKは引き立つのだが、
その辺はお手盛りな印象アリ。

また、おそらく(原作を読んでいないので不確かだが)、
監督は原作のコマ割りを、そのまま映像に置き換える試みをしたのではないか?
特に前半部はその傾向が顕著に見える。
功罪半ばだけれど、その方針は買う
(逆のパターンに『天然コケッコーくらもちふさこ山下敦弘』がある)。

『堤 監督』の快心作、と言って置こうか。

また、チョイ役で出演している有名人も多数。
それを捜すのも面白い。
当然、キャラクターや会社等の名前は、
過去のロック関連の人名・曲名からの引用が多く、
ある種、知識を試されている感もある。


最後になったが、『水嶋ヒロ』は英語の科白の時の方が役者らしいけどな。


追伸-エンドロールの
プロレス指導 GENTARO 佐々木貴
には笑わせてもらいました。