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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

アントワープ王立美術館コレクション展@東京オペラシティアートギャラリー 2010年9月5日(日)

連休が多いこの時期は、「ぐるっとパス」の使いでが、いや増す。
無料のギャラリーは、祝祭日にお休みの所が多いし、
割引Day以外の日に行く映画も、少々ひよってしまう。
いざとなったら、有料放送(スカパー!とか)で観れば良いと
思うからな。
というわけで、今年も購入。
上手く行けば、ディスカウンターで1,900円以下で売られている。

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一般の入場料は千円
副題に有るとおり、「アンソールからマグリットへ」計70点が展示。


館内の広さの割には、展示数が少ないので、
比較的ゆったりと壁面が使われている上に、
メジャー所の画家が少ないので、入場者もちょぼちょぼ。
混雑を気にせずに鑑賞できる。

裏を返せば、一般的に知られている画家が少ないから、
学芸員は、その分、解説に工夫を凝らしている。
画家の説明、絵の説明、細に入っている、

が、逆にそれが、専門性に流れがちなきらいがあり、
全体的に学術臭さが鼻につく。
もうちょっと、卑近な言葉で語っても、
絵本来の価値は損なわれないだろうに。

お目当ての『マグリット』は、チラシにも印刷されている
〔9月16日〕も含め三点。
当該作は、大木の前に三日月が輝く独特の構図。
不条理な、その構成は、一度見たら忘れられない。

彼の作家以外は独自性に欠けるというか、
どこかで観た様な作品が多いのが、
「ベルギー」という、その当時の土地柄故か。


同時開催の「収蔵品展034 幻想の回廊」が素晴しい。
少し捻ったリアルの作品が満ちている。

五味文彦』は三点。
軟らかいテーブルクロス、乾いた枯葉、硬質で透明な硝子。
この描き分けが素晴しいスーパーリアリズム

そした今回の新たな収穫は『河原朝生』の〔毒の箱〕。
何の変哲も無い、赤く塗られた部屋の真ん中に
四角い黒い箱。
しかし、この部屋の奥行き感が尋常ではない。
そのまま、絵の中に入って行けそうな空間。
なんだこれは。
二次元の表現が、そのまま三次元に通じている。
眩暈がしそうな独特の描写。
暫らく佇み、次いで右に左に動き、しゃがみ背伸びをし、確かめる。
間違いなく、絵の中に、不思議な空間は在る。
素晴しい。

『川村悦子』の〔冬の旅Ⅱ〕も、驚愕の表現手法で
楽しくも眼を騙してくれる。

この為に払う200円は、けして惜しくない。