RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

ロストクライム ―閃光―@109シネマズ川崎 2010年7月10日(土)

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席数89の【シアター9】は、六~七割の入り。


隅田川で、八丁堀のラーメン店主の絞殺体が発見される。
直ちに捜査本部が設置され、定年間近のベテラン刑事
『滝口政利(奥田瑛二)』は、志願し加わる。

『滝口』は任官間もない頃、「三億円事件」の捜査に投入され、
今回の殺人事件は過去に繋がっていると、どうやら確信している。

一方、若手刑事の『片桐慎次郎(渡辺大)』は『滝口』とコンビを組まされるも、
彼の身勝手な行動に振り回され苛立っている。

反りの合わない二人の刑事が辿り着いた「三億円事件」の真相と、
それに関わる闇とは・・・・。


三億円事件」の犯人に警察の係累が居たため、
捜査が不自然なものになってしまったとの説は以前からある。
本にもなっているはずだし、読んだこともあるから、
特に新しさは感じない。

なので、その部分だけがピックアップされるのは、
(角川的ではあるものの)たぶん本筋ではない。

本作の白眉は、更に一捻りを加え、組織の闇を取り込みながら、
一編のクライムノベルに仕立てたところにある。


無論、反発していた『片桐』が、あっさり『滝口』を信用するなど
感情の描きこみ不足の点はある。
また、彼らや犯人達の生活背景も、無駄な描写が多く冗長。
舞台の主点は2002年にあるため、事件当時の部分は少なく、
全体的にバランスが悪い。

渡辺大』はかなり暑いし、『奥田瑛二』に到っては、
急に年寄り化してしまうご都合主義も鼻に付く。

が、アラは散見されるものの、
全体を通してみれば、複数の謎解きも盛り込まれ、
僅かな光明も期待させるラストを含め、
比較的上質のミステリーとして成立している。