RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

伊藤若冲 アナザーワールド@千葉市美術館 2010年6月17日(木)

梅雨の晴れ間の猛暑の中を、日陰を選び【千葉駅】から、
十分強を歩いて辿り着いたのは【千葉市美術館】。

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前回ここに来たのも、やはり『若冲』を観るため。
2007年8月の熱い日だった。

そして今回は、更に充実した展示内容になっている。

一般の入場料は千円だが、新聞に掲載された割引券を持参すれば百円引き。

混雑を想定し、有給を取って、平日に訪問したのだが、
会場とほぼ同時の入館で、場内はそこそこの混雑。
前回訪問時の数倍の人。
それでも【国立】の”プライスコレクション”の時よりはマシだがな。

加えて幸いなことに、学芸員の案内が11時から開催されるという館内放送が。
有り難い。これがあると、相当の人がそちらに集中するから、
その分、先行している場所は、幾分か空く。

しかし、素晴しい展示品の数々。
〔樹花鳥獣図屏風〕は、やはり2007年、これを観るために、
静岡県立美術館】まで行ったんだ。期間限定の公開なので、
GWの直前に休暇を取って。ここで邂逅できるとはな。

〔象と鯨図屏風〕も【MIHO MUSEUM】に観に行こうかとも考えたのだが、
金策が付かず断念した。後期限定の公開で、今日来て良かった~。
雄渾な鯨と白象、わけても象のすっきりした眼の線が、一部の躊躇い無く引かれ、
凡百の絵とは一線を画す。
しかし、保存状態はかなり悪い。直近で発見されたこと自体が天佑だろう。
今後は、大事に管理してもらいたいものだ。

〔群鶏図〕は軸を始め多数展示されているのだが、
中でも〔押絵貼屏風~紙本墨画六曲一双〕及び〔襖絵〕が素晴しい。
前者は豪快な中にも精密な筆致。二羽の番いが描写されている。
後者は三羽が一領に。しかも、領毎に羽根の描写を変えて描いている。
何と言う手間。しかも、これらが最晩年、八十代も後半になってからの作だから、
驚きはいや増す。

それ以外にも、逸品は多数。
解説している学芸員さんが、「めったに無い機会ですから、じっくりとご覧になって下さい」
と話す声が聞こえて来る。もとより承知。
たっぷりと、二時間強、拝見させて頂きましたよ。

以前観た作品でも、知識の増加、新たに観た作品との比較で、
また違った観方が出来るようになるからな。
ここまで来ると美術鑑賞も、最早体力勝負ですな。

市立美術館での開催ながら、今年になってからの、現時点までのベストの展示会。
前期に行けなかったことが、すこぶる悔やまれる。


同時開催は
”江戸みやげ 所蔵浮世絵名品選”
『春信』の揺籃期から『写楽』『北斎』を経て明治期に至るまで、
主要作品を俯瞰できる内容となっている。