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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

春企画「見つめる」展@アートギャラリー・アトリア 2010年5月5日(水)

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一般の入場料は300円。
だが、川口市の広報には、無料の招待券が印刷されているらしい。
なんて羨ましい・・・・。

野田弘志』と『諏訪敦』を観に来たわけだが、
前者は、
70年代の黒をベースとした作品
80年代の鉛筆画、そして
90年代の白を基調にした作品、が
各数点ずつ展示されている。

馬鈴薯〕(70年代の作品)は、手を伸ばせば掴めてしまえそうな、
精細な描写。
これが、90年代の、特に「骨」をモチーフにした一連の作品は、
「描きました」というのが歴然と見えてしまう描写。
勿論、意図的なのだろうが、この変化の理由は何だろう。

『諏訪敦』は生と死がテーマ。
生の部分は個人蔵の、死の部分は作家自身蔵の作品で構成され、
赤ん坊~老人(作者の父親と『大野一雄』)までが、一連の流れとなっている。

全ての、登場人物は生者も死者も目を閉じ、その差は判然としない。
夢を見ているとしても、生きているだけで、苦悶の表情を浮かべる老人。

一方、生は女性で表現されるわけだが、特にテンペラ画が素晴しい。
黒子は言うに及ばず、吹き出物の跡、靴擦れの跡、剃り残された毛に至るまで、
(例によって)詳細に描写されている。
皮膚の浅い下を走る血管までもが、薄青く透けて見える。
いや、もう脱帽です。
相当の時間、前に立っていたと思う。

観客は殆んどおらず、私の前に一人、後に一人。
一時間の間にこの程度(しかも休日)だから、
心行くまで鑑賞に没頭できます。