RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

オーケストラ!@チネチッタ川崎 2010年5月1日(土)

席数488の【CINE12】は、前列のみ空きがある、九割方の入り。
大層な混雑だ。

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ロシア・ボリショイ劇場で清掃員として働いている『アンドレイ・フィリポフ』は
かって、同交響楽団の主席指揮者だった。

当時の最高指導者『ブレジネフ』の意図に叛いたため、
楽団員ともども放逐され、ここ30年というもの不遇の日々をかこっている。

ある日、夜中に居残り清掃を命じられた『フィリポフ』の前でFAXが動き出す。
それは、突然キャンセルされたサンフランシスコ交響楽団の代役として、
パリのシャトレ座への招聘依頼だった。

ここで、彼はとんでもない計画を思いつく。
嘗て解雇された仲間を再び集め、
贋のボリショイ交響楽団としてプレイエルに出演しようというもの。
しかもそれには、二週間以内に昔の楽団員を招集せなばならない。
元チェロ奏者の『サシャ』と供に動き出す『フィリポフ』。

彼は、演奏をする条件に、ヴァイオリンソリストとして、
『アンヌ=マリー・ジャケ』を、
演目は「チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲」を指定する。
これには、何かワケがあるようだ。

果たして彼は、再び舞台に立てるのか・・・・。


原題が〔Le Concert 〕であることから判るように、
最終的に舞台に立てることは判っているのだが、
そこに至るまでの顛末の描き方が素晴しい。

荒唐無稽な展開も、
過去~現在のロシアが抱える問題をチクッと提示しつつ見せることで、
「もしかしたら、アルかも」と思わせ、
はらはらときどきさせる手腕は見事。

ロシア側だけの描写であれば、
紛々とうそ臭さが漂ってしまうのだが、
パリ側も同じレベルに引き下げることで、
上手く喜劇としてのバランスを取っている。

楽団員を集める~スポンサーを募る~空港への移動~出国~
パリ着~宿泊~楽器調達~リハーサル~そして本番。
全ての障壁で楽しいヤマが用意され、
それを解決する手段に思わず哄笑してしまう。

最後の演奏シーン。
ここで、彼が先に挙げた条件が伏線として生きて来る。
それは、想定だにしなかった展開。
勿論、十分な盛り上がり。
ついつい、緩む涙腺。
比べてはいけないけれど、〔のだめ〕の数倍の感動。

要所要所で見られる小道具の使い方も上手く、
今年観た洋画の中では、現時点でベストの作品
(すいません。たいして本数観ていないのに、
偉そうに言っちゃいました)。