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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

第10回 伝統からの創造 21世紀展 @東京美術倶楽部 2010年4月24日(土)

美術ファンの底辺が広がっているとか、
美術鑑賞がブームであるとの論説がある。
マヤカシだと思う。
そのような論調が掲載されているのは、
決まって主催や協賛企業の評論。

ちょっとしたハレの場を求めたり、
「混んでいるから」「話題だから」と言う理由だけで、
一過性のブームには人口の拡大は期待できないのでは、と。

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無料の本展でも、一般の入場者よりも、同業者の方が多いくらい。
勿論、大々的な告知をしていないことも背景にはあるだろうけど、
本当の美術ファンなら、検索してでも来るだろう。
ましてや、今を代表する作家の作品が百五十点近く展示してある。
もっとも、混雑過ぎるのは嬉しくないから、その辺気分は裏腹だな。


おっといけない、『塩谷亮』を観に来たんだった。
〔朝陽〕は白い服を着た女性が、緩やかにカラダを逸らし、
僅かに下を向いている。
細密さ過ぎず、程よい描写。
面立ちも好ましい。

花鳥や風景画が多いながら、やはり好きなのは人物画。

松井冬子』の〔風招図〕。
長い髪を振り乱した女性の首だけが、画面中央にゴロンと転がっている。
血の気のない唇と頬。
見開かれた目や表情からは、官能さえ漂って来る。
色々と妄想をたくましくする作品。

新しい収穫は『前田さつき』の〔予兆〕。
淫靡で妖しい世界を、ペンと色鉛筆だけで表現している。

笑ってしまったのは、『石黒賢一郎』の〔QH-ED04「ふたりでみあげた星」〕。
絵の右隅に貼ってある、小さいシールを見て思わず納得。
アニメ〔キューテイーハニー〕第四話の1シーンをモチーフに、
容姿の異なるモデルを使い、まんま再現している。

人物画の驚愕は『島村信之』の〔眺め〕。
その詳細描写の度合いは、並外れている。
写真かと見紛うばかり。
が、女性の顔立ちは、せいぜい三十代のそれであるにも関わらず、
指だけが、妙に年代を感じさせる描写になってアンバランス。

まだまだ良作は数知れず。

地方を巡回した後、東京には再度、5/25~28に戻って来る
もう一回、行くかも。