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森村泰昌展・なにものかへのレクイエム-戦場の頂上の芸術-@東京都写真美術館 2010年4月18日(日)

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同館の2・3Fを使った展示会
カフェスペースの吹き抜けでも映像作品が上映されている。

展示内容は、同氏お得意のなりきったシリーズ。
特に、今回は世に広く知られた写真や映像を再現することで
展開されている。

浅沼稲次郎』を『山口二矢』が刺殺するシーン。
ニュース映像でも繰り返し流され、昭和を語るときに、
必ずと言って良いほど取り上げられる写真。
『浅沼』のずり落ちる眼鏡の角度もそのまま、
正確に再現している。

一転、『ヒトラー』を取り上げているシリーズでは、
チャップリン』が〔独裁者〕で描いた『ヒンケル』を
『森村』なりに解釈し写し込んでいる。
仔細に観ていくと独特の悪戯にも気づかされ、
思わず哄笑。

三島由紀夫』についても一連のシリーズとして展示されているのだが、
壮観なのは【陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地内】での演説シーンの映像化。
文章で切り取る試みは、『筒井康隆』が〔ダンヌツィオに夢中〕で実践済だが、
『森村』は時代を現代に置き換え、内容も芸術の貧困とし、
しかし、そのティストは往時を失わずに再現している。
七分強の作品は、ラストシーンで思わず微苦笑が込み上げて来ると供に、
人気の無い吹き抜けに響き渡る「静粛に!」の声が、
あまりにも場にマッチしていて、逆に空恐ろしささえ感じる。

一般千円の入場料だが、ディスカウントで700円で購入。
込み具合もさほどでは無い。
写真:35点、映像8点で、全てキチンと観ると、
二時間程度は掛かる。

基本、知識の幅が広いほど、楽しめる構成。

が、例えば、あの有名な〔昭和天皇マッカーサー〕写真では、
人物の造形は前述の通り、大きさの対比を含めそっくり。
ただ、その撮影場所は、茶箱がうず高く積まれた、
薄暗い茶屋の店内。
何かしらの寓意を求めてしまうのは、ただ勘繰り過ぎなのか。