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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

「よみがえる浮世絵-うるわしき大正新版画」展@江戸東京博物館 2009年10月25日(日)

特別展だけであれば、一般1,300円の入場料。
ディスカウントチケットで、事前に850円で購入済みだったが、
もうちょっと待てば600円程度で買えたようで、ちょっと早まったかな。

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チケット売り場は3階だが、企画展示室は1階と少々不便な造り。
実は、此処は初訪問だったりする。

閉会まで、あと二週間。日曜の午後なので、普通なら混雑が想定されるが、
値段を勘案すれば、さほどのことはあるまいと踏んでやってきた。
中は案の定、ゆったりと鑑賞できる程度の混み具合。
それにしても外国の人の比率が高いなあ。

事前の予習をまるっきりせずに行ったのだが、その数の多さにビックリ。
前・後期で展示替えがあるようだが、総数で軽く二百を超え、
多分三百点近いと思われる。
こりゃー、時間掛かるぜ。

「浮世絵」でもなく「日本画」でもない。
{新版画}という、まるっきり新しいジャンルである。

”大首絵”風のもの有り、『広重』の{風景}に題をとった作品有りで、
バリエーションが豊富。作家毎の展示数も多いので作風の変遷や、
人物と風景の描き方の差も確認でき、観ていて飽きない。

初見だったのは『伊東深水』の作品。版画を多くものしていたこともそうだったが、
その期間(大正~戦後)の長さにも驚く。
そして、その画風の変化。
初期の日本画風のものから、大正モダニズムを経て、戦後の作品は
人物こそ正調であるが、服の模様に至っては、『ピカソ』の{キュービズム}時代の
作品にそっくり。

鏑木清方』の〔築地明石町〕を、まんま版画としたものが素晴しい。
『清方』は一点だけの展示ではあったものの、制作には
かなり深く関わったとのことで、上々の出来栄え。

そして、本展の白眉は『山村耕花』の〔梨園の華 初世中村鴈治郎の茜半七〕。
細面に、これも切れ長の怜悧な眼。
胸より上の絵姿だが、すう~っと伸びた背は、
立ち姿全体の形のよさを窺わせる。
何とも鯔背である。

試し摺りを含めて、制作の過程が見える展示も有り、興味は尽きない。
いや、思わぬ掘り出しモノ。