フラワー・オブ・ライフ：よしながふみ

『白泉社』による文庫版、全三巻がようやく揃った本作は、
『よしながふみ』の作品にしてはゲイっぽい描写が殆んど無いため、
（誰でも）安心して読める漫画になっている。

あの、『西洋骨董洋菓子店』でさえ、その手のシーンはかなりあるからな。

病気のため一年遅れて高校に入学した『花園春太郎』の学生生活が、
家族や周囲の友人・教師達の日常を交えて語られる。

現実には、居なさそうでいる、居そうでいない個性的な人物の造形が、
本来であれば、かなり暗くなるストーリーの骨格を、
却って明るいものにしている。

ここで描かれるは、高校一年の一年間。
タイトルの通りそれが、”生涯最盛の時”であるかどうかは分からないけど、
登場人物達は（主人公も含め）、キラキラと輝いて、
今、この時を謳歌しているように見える。
本当に楽しそうに。

自分の高校時代と比べると、彼我の差は大きいけど、
フィクションであることはわかっていても、
読めば胸がきゅんとするよね。