随分と過日分。
走り、旬、盛り、名残りを大事にする和食なので、
このタイミングで書くのは遅きに失した感はあれど。

事前にWeb予約をしての訪問。
店内は厨房に向いたL字型八席のカウンター、
四人掛けのテーブルが二卓。
当日はカウンターも六席が埋まり、
ターブルも同様。
これを一人で回しているのだから、
見るからに大変そう。
中途から、お運びや皿洗いの若い女性が入ったが、
それでもあまり余裕はなさそうに見え、
酒を頼むタイミングを躊躇してしまう。
食したのは9,350円 (税込)の「乃いろコース」。
初めての訪問なので、先ずは様子見といったところ。
なお、「献立表」は無かったので
文中の表記は全て、説明を聞いた時の記憶によるもの。

【先附け】うすい豆摺り流し 走りのお野菜(こごみ、菜の花、芽キャベツ、鞘豌豆)
「うすい豆」は初めて聞く名前も、関西地方の春告げ野菜とのこと。
碧色が目にも鮮やか。
野の物も取り入れ、早春の息吹を十分に満喫できる一皿。

【椀物】新玉葱みぞれ椀 薄氷大根 鯛 粟麩 口柚子
新玉葱の爽やかな甘味。それを霙にする手間を考えると、一入の有り難さ。
透けるほど薄く切られた大根の食感も面白い。

【お造り】本日のお造り(本まぐろ、天然真鯛、鯒、細魚、初鰹)
紅白が市松模様に配された供し方が面白い。
鮪は口の中で蕩け、細魚は透明なのに脂が乗る。
初鰹の清新さもこの時期ならでは。




【佳肴八寸】虎河豚、数の子とクリームチーズ土佐和え、独活木の芽味噌和え、青菜とお揚げお浸し、
蛍烏賊若布ジュレ掛け、ロマネスク梅肉、芽キャベツ酒盗
眼福の「八寸」。これだけでお酒が随分と進んでしまう。
古くからある和素材の取り合わせも上々だが、
ロマネスクやクリームチーズの洋の取り込みも面白い。

【揚物】真鱈と白子と大葉春巻き
見た目は単なる春巻きも、齧り付けば熱々の白子が流れ出し
上顎を火傷してしまう。
親子が一緒になったことによる味のハーモニーは素晴らしい。

【お凌ぎ】やりいか手毬鮨 葱塩 生姜
一瞬、烏賊焼売が出て来たのかと思った(笑)。
ねっとりとした烏賊の食感や善し。

【蓋物】春菊 白菜 鰆 白葱
器は随分と大きく食べ出がある。
野菜の甘味に魚の旨味がすとんと嵌る。
彩りも鮮やかで、
苦手な春菊の苦味も気にならない。



【お食事】鰤炊き込みご飯 赤出汁 香の物
一面の白胡麻と青菜、鰤はごろんと切られ
甘辛い味も沁みている。
土鍋で炊かれ熱々が供され、
ハフハフしながら平らげてしまう。
赤出汁は濃く、漬物の量が多いのも嬉しい。

【甘味】苺杏仁ゼリー掛け、白胡麻プリン、ミルク葛餅
食感も甘味もバリエーションあり。
その時は気づかなかったが、デザートはお代わりも可能なよう。
甘過ぎず、幾らでも食べられてしまうかも。
別腹とはよく言ったもの。
お酒は
「アサヒ熟撰」
「手取川」
「加茂錦」
「陸奥八仙」
「麒麟山」
「而今」
「常山」
「デュワーズ12年」を。






写真はその内の三本。
お会計は〆て2.65万円と、
飲み食いの質と量の割にはリーズナブル。
これなら季節の折々に
訪れても良いかも。