店の看板には「旨魚」と書かれている。
「鮨」を左右逆にしてるの?と思ったが
よく見ると、間には小さく「い」の字が入っている(笑)。
店内は厨房に向いたカウンターにテーブル席。
それほどの広さは無く、
客はきゅうきゅうと詰まって、
魚介類に舌鼓を打ち、酒を嗜んでいる。
先ず出されたのは、

《山かけ鮪》
山芋の口当たりが良く、
鮪も冷えっとしている。
濃い色味に見える醤油ダレも
思いの外、鹹さに尖りはなく旨味がある。
次いで、

《海亀》
えっつ!食べてイイの?
犯罪に加担させられてない?と不安になるが、
小笠原辺りでは漁期と頭数を決め捕獲しているよう。
〔バベットの晩餐会(1987年)〕で、
会食の参加者たちが《海亀のスープ》に陶然となるが、
そこまでの感動は無く。
部位も色々と入っているので、
ある場所はすっと歯が通り、
ある個所はごむごむ。
ただスープには(鼈よりも)野趣があり、
塩味の加減も含めしっかりした味。

《刺身盛り》
旬のネタが五種。
烏賊はさっくり、
貝はこりこりと食感の違いも楽しい。

《太刀魚》
身は厚くふっくら。
皮目はぱりっと上々の焼き加減。
塩の塩梅が良く、
醤油を掛けずとも十分に旨い。

《牡蠣フライ》
今シーズン初で口にする記憶。
表面はかりっと。
中の身は熱々でとろっと。
まさに海のミルクを味わう感じ。

《鯨の竜田揚げ》
子供の頃、これが給食で出ると、
随分と嬉しかった。
往時より味が落ちている気がするのは、
単に記憶による美化か。
それでも、ここ暫くで食べた中では
最上の美味しさ。

《キンキの煮付け》
脂がのってまさしく旬。
甘辛く煮付けられ美味しい。
身を取り切ったのち、
残った汁をご飯に掛けて食べたいと所望したが、
もう残っていないとのことで断念。
良い素材と適正の調理で
どの皿も上々。
唯一、〆の画竜点睛を欠いたのは残念だった。