RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

グラン・トリノ@109シネマズ川崎 2009年5月10日(日)

天気の良い日曜のためか(それとも”母の日”だから?)、
ラゾーナ】周辺はかなりの混雑。
毎月10日は”109シネマズの日”で、入場料千円だから、
映画館の発券窓口もすごいことになっている。
事前にインターネットで予約しておいて良かった~。

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【シアター2】は席数130の小さ目の劇場。
そのせいもあってか、中はほぼ満員。

グラン・トリノ〕は言わずと知れた『イーストウッド』の最新作。
監督・主演を兼ねている。

老境に差し掛かって妻を亡くした『ウォルト・コワルスキー(イーストウッド)』は
頑固な生粋のアメリカ人。
朝鮮戦争に行ってフォードの工場で働いて、アメリカが最も輝いていた時代を生きてきた。

しかし、彼の住む住宅街も、御多聞にもれず、今は白人はほとんどおらず、
有色人種がどんどんと侵食してきている。
そんな状況を苦々しく思い、人種差別的な言葉で毒づきながら、
子供とも距離を置いて、孤独に暮らしている。
不機嫌な時に出す声は、まるで犬が唸っているよう。

そんな彼が、隣家の姉と弟をひょんなことで助けたことから、
あれだけ嫌っていたベトナム人達と接触を持つようになる。
そして・・・・。

俯瞰映像は多いが、お得意のヘリコプターショットはない。
ことほど左様に、押さえたカメラワークーで、物語は静かに進行する。
時として勇壮なマーチも鳴り響くが、そこでの『イーストウッド』は
最早”ダーティ・ハリー”ではなく、悲壮感や滑稽感さえ漂う。
「Go Ahed」とは言うけど「Make My Day」の科白は続かない。

隣家の少年との関係は、本当の親子のようで見ていて微笑ましい。
まるで、できなかった実子との交流を、再構築しているようだ。
ラストに至る展開は、ある程度想定の範囲内だけど、これは心温まる”名作”
と言って良い。